保育園問題を考える

《保育園問題》について想うこと
荻くぼ子

◆区立保育園は公費で運営するので、広い園庭、充実した施設、元気な20代から経験豊かな50代まで多様な保育士の方がそろっています。そして、区立園の保育士は身分が安定した公務員ですから、生涯の専門職として誇りと情熱を持って保育をすることができます。一方で民営の保育園は経営維持のために費用効率を考えなければなりません。いきおい経費削減のため人件費を抑えることになりがち。そのため低い給与の短期派遣職員を配置することになります。不安定な待遇にある保育士さんたちは、仕事に情熱を傾けるゆとりが持ちにくいことになるのではないでしょうか。

◆なかなか入れない区立保育園に入れてもらうために、パパママさんたちは、とっても苦労しています。仕事の仕方を変えたり時間を変えたり、場合によっては引っ越したり…。そうしてやっと入れた区立園から急に「民営化します」と言われる…。この時の驚きを想像してみてください。子どもたちが慣れ親しんできた先生が急にいなくなって、新しい先生にすごく戸惑う。これって、幼い子どもたちにとって大きなショックでしょう。

◆多くの民間保育園は、効率能率を優先しがちになるので、子どもの天衣無縫な心にていねいに付き合う余裕がなくなりがちといわれます。無経験のアルバイト補助員を入れる園もあり、アルバイト氏は泣く子に「泣くな」「静かに」と叱ったり、扱いやすいように誘導したり、ということもあるようです。

◆それでも民間保育園には、子どもの楽しい育ちをめざし、心を込めて保育の理想をめざしている、公立園以上に素敵な園もたくさんあります。区役所が民営化園を選定するときに、選定対象園を広く情報公開して保護者に読みやすい形で紹介すること、選定委員会に保護者の意見が優先して取り入れられるようにするといいのではないでしょうか。
現在は、最多2名までの保護者が選定委員会に入れるのですが、対象になっている民間園の分厚い情報ファイルを何冊も役所まで出かけて短時間に読み込む必要があり、そのとき他人と相談してはいけないという不思議なルールもあるとか。など、保護者が民営園選定に関与しにくい仕組みになってしまっているようです。(2017.11.17)