昨年11月に「杉並区男女共同参画都市宣言20周年記念事業」イベントのプログラム原稿から「平和憲法」の字句を削除させられる事件がありました。
そもそもこのイベントは20周年に当たり杉並女性団体連絡会(杉女連)発案で小林緑さん(国立音大名誉教授)企画による<女性作曲家を知る楽しみ……ピアノ独奏と連弾>として計画されていたもの。
クラシック音楽作曲家が男性中心の世界のため才能があっても無視されてきた女性作曲家たちの作品の紹介をしてきた小林さんは、男女が等しく音楽を楽しめる自然な社会を願うコンサートは男女参画記念行事にふさわしいと考えて区の委託に応じた。
ところが開催間際になって区役所がプログラムの「平和憲法」の字句を削除せよと強い、さらに裏方の区が前面に出るプログラムに変え、区主導の「オリンピック選手を交えた記念トーク」を先にしてコンサートより目立たせている。
区が作り替えたプログラムの表は、第一部<記念トーク>ゲスト3人は肩書も敬称もきちんと出ているのに、第二部<コンサート>の演奏者5人の名前は表に無く、プログラム内部に小さく出るだけ、敬称も肩書も写真もすべて削られてしまった。コンサートの演奏者に対してあり得ない失礼だ。その上「区の担当課長の名前」を表に書いているのに、会を提案・企画した「杉女連」の名はどこにも書かれていない。
そして「平和憲法」を削除させる杉並区役所、このような行政のやり方を黙認していいのか、松尾区議が議会で質問しました。
松尾区議
①プログラム原稿から「平和憲法」の字句を削れ、と命令したのはなぜか。
削除の理由は? 憲法にかかわる検閲?
②コンサート演奏家のプロフィールと写真を削ったのは失礼だ。謝罪せよ。
③コンサートの補助金10万円のみと杉女連には言ったが、全体予算は40
万円では?
これは女性参画事業への軽視ではないか? 企画者は仕方なく自腹を
切って、演奏者に謝礼を出したというが。
④パブコメに「女性団体育成の項が抜けている」と区に言ったら「女性団
体は偏った人たちの集まりだから」と発言した。
パブコメからはずした理由は?
⑤男女平等センターには専属職員も居ないし、これは山田区長時代からの
ことだが、田中区長も山田区長と同じ思想なのか。20周年を祝う独自の
企画もない。
平等センター活性化の考えは無いのか?
区民生活部長
プログラムの変更は、事業の意図をわかりやすくするためだ。受託者とは
合意した。
経費は第一部に13万円、第二部に12万円。その他全体経費に42万8000円
女性団体が「偏った人たち」との発言そのものの存在を確認できない。
男女平等センターへの職員の常駐は計画していない。
松尾議員再質問
「平和憲法」を削れという検閲の責任者は?イベント企画者はギリギリ
の時期の要求で時間がないから仕方なく「平和憲法」の文を削ったが、こ
れは大問題。
区の認識は如何? 区長は憲法問題として答えて欲しい。
そうすれば山田区長とは違うと思えるのだが?
田中区長
女性団体についての特別な評価はない。女性の社会進出については保育園
増設に力を入れている。
女性の管理職が少ない原因は女性にもある。今年も女性の職員採用は全体
の6割になった。これは女性が優秀だから。しかしなぜ管理職にならない
か。
管理職試験制度にも問題はあるが。区長を非難するのは簡単だけれど、松
尾議員自身がどうしたら解決できるか考えるべき。
以上、区長も職員も「平和憲法」削除問題は答えず。どの質問にも、木で鼻をくくったような返答か、質問内容無視の不誠実な無回答に終始。
最後に区長は松尾議員批難の見当違いの説教を垂れた。
松尾議員だけでなく区民をバカにしきった許し難い、区長ならびに区役人の態度に、杉並区政の腐敗を見せつけられた。 文責 岡田良子