◆3月7日の区議会質疑 「平和憲法」の削除問題 区側の疑惑隠しとウソが明らかに

 杉並区が、昨年11月に開かれた男女共同参画記念事業のプログラムの原稿から、「平和憲法」の4文字を筆者に削除させた問題(注)について7日、松尾ゆり区議が改めて区議会の予算特別委員会で、区側の考えをただした。

 その中で松尾区議が、「区側の判断で『平和憲法』の字句を削除させたのは重大であり、憲法違反に当たる」と迫ったのに対し、区側は「表現をわかりやすくしただけ」「筆者の了解も得た」などと述べ、平和憲法の4文字を意図的に削除した事実を否定した。

 これに対して、プログラムの筆者であり、この日同委員会の傍聴席で目の前のやりとりを聴いていた国立音楽大学名誉教授の小林緑さんは、次のように反論した。

「区側の答弁はとんでもないこと。私はプログラムの印刷前日になっていきなり担当者から電話で、『平和憲法のくだりは政治的。書き直してほしい』と言われたました。こんなやりとりがあったのに、区はその事実をひたすら隠し、まるでなかったように見せかけようとしています」

「これでは杉並区の田中区政も、安倍内閣の『もりかけ隠し』のやり方と同じではありませんか」

「筆者の了解も得た」との区側の答弁も、小林さんは真っ向から否定した。

「プログラムの印刷が間に合わなくなったらそれこそ一大事と思い、やむにやまれず私は文章を書き直したのです。その際も担当者には『私は納得していません』と念を押しました」

「だからこそ後日、そもそもの記念事業企画発案者でもある杉並女性団体連絡会のメンバーと一緒に、区の担当責任者にも強く抗議しました。しかし区からは、お詫びの言葉も釈明もありませんでした」

「本人が抗議しているのに、なぜ『了解も得た』などとウソが言えるのですか。区側の責任者が、区議会という公式の場で事実をねじ曲げた発言をするなど、許されることではないはずです。

 松尾区議は質疑の最後に、杉並区がこれまで進めてきた男女共同参画事業推進や男女平等センターの活性化、区内女性団体の育成など、どれもまだまだ不十分と指摘し、区側に一層の取り組みを求めた。

(注)プログラムの中の「平和憲法」を削除する前の文章と、削除したあとの文章の違いは以下の通りです。

<削除前>

「平和憲法さえも危機にある世界の現状を、こうした女性たちの音楽から見直すためにも、本日のコンサートが少しでも皆様の印象に残るよう、心より願っております」

<削除後>

「こうした女性たちの肩肘張らぬ音楽に耳を傾け、世界が平和に、男女が等しく、自然体で命を紡ぎ続けられるよう、心より願っております」

2018年3月7日 ()