「杉並の問題」フィールドワークを初めて実施、27人参加(2017.11.12)報告2

「杉並の問題」(つづき) 「あんさんぶる荻窪」が、なぜ税務署に?

12日の午後、高円寺小中一貫校の建設現場などを見学した参加者たちは、3時すぎに次の目的地「あんさんぶる荻窪」に向かいました。

このあんさんぶる荻窪というのは、荻窪駅西口のすぐ近くにある5階建てガラス張りのしゃれた建物です。小さな公園が1つしかない地元の子供たちのためにと、地域住民と区が7年かけて準備し12年前にできたそうです。
案内役を務めた松尾ゆり区議の話では、住民側が提案した建物の内容は、ここに集まる子供たちのことをとても大切に考えていたとのこと。建物内には放課後の子供たちが遊べる児童館や体育館のスペースを計画しました。
それだけではありません。なんと建物の外壁を取り巻くように外階段をつけ、5階までのスロープにビオトープや風力発電機、花畑なども作ることにしました。子供たちが遊びながら環境問題も学べるようにと願いを込めたのです。

ところが田中良区長は4年前、そのあんさんぶる荻窪と荻窪税務署との財産交換を突然発表しました。「児童館がなくなれば子供たちの居場所がなくなる」。住民たちは猛反対しました。裁判も起こしました。でも区は住民の声を全く無視。さらに来年3月には財産交換の正式手続きを強行しようとしています。
財務省内には「ガラス張りの建物は税務署向きではない。数年したら他の場所に移りたい」との意見もあるようです。それなのに区が強行するのは何故でしょうか。「また税務署が移転することを前提に、候補地となりそうな荻窪駅周辺の利権がうごめいている」。そう話す住民もいます。
区が財産交換を強行する背景に何が隠されているのか。私たちはこれからもこの問題を注意深く見守っていく必要がありそうです。

そのあんさんぶる荻窪に到着した参加者たちは、松尾区議の説明を聞きながら外階段を登って行きました。階段脇に土盛りされた花畑にはコスモスの花やススキの穂が揺れていました。屋上も気持ちの良い庭園で、眺望も実に見事でした。
「この建物は杉並の大事な宝物だと思います」
「税務署に渡すのはもったいないですよ」
これがこの日の参加者たちの一致した感想でした。 (淳)
(完)