阿佐ヶ谷北東地区開発を考える(1)

12月21日(土)「けやき屋敷の緑を心配する会」の学習会が島尻茂樹さん(造園家&桃園川探検家)、と都市工学が専門の島田昭仁さんを講師として行われました。

けやき屋敷の森は並みじゃない!

けやきの森に住む、オオタカの一種「ツミ」

けやき屋敷の森は、この場所が鎌倉古道の要衝であった歴史から考えると、数百年以上の歴史がある森ということでした。
そして現在では自然の更新を経て安定した状態になっているはずで、元々は防風林として植林したものではあっても、もはや人工林などではなくて自然林と言えると。明治神宮の森ぐらいの価値がある貴重な自然。
そんな森を伐採してしまったら元には戻らない。
区は緑化率をなるべく維持するようなことを言っていますが、そもそも緑の質が違うものを単に数字に置き換えても意味が無いと
確かにと思わされました。
ツミもそんな森だから住まいにしてるんでしょう。そして、鳥や虫たちが集まることで、また森が更新されていく。
そんな森が阿佐ヶ谷駅のすぐ近くに残っていること自体が奇跡的なことです。

軟弱地盤に学校建てたら杭打ち20億円!

+のところが河北病院

都市圏活断層図(東京西北部)を使っての、そもそもの地盤の話と桃園川の話。
活断層図では、台地と低地(軟弱地盤)の違いがわかります。川はこの低地を流れることになりますが、阿佐ヶ谷地域を見ると、河北病院はみごとに低地(桃園川)の上に建てられていることがわかります。
※この地域に活断層はないようです。

川の様子は、下の図の方が分かりやすいかもしれません。明治時代のはじめの地図です。

阿佐ヶ谷村の阿の文字の上、杉という文字がある場所がけやき屋敷。
道を隔てて東側にある高台が現在杉一小のある場所。
周囲の川の流れがよく分かります。
暗渠となっている現在、内水氾濫を起こす理由がわかるような気がします。

歴史的農業環境閲覧システム(現在との比較)

河北病院の南側に、阿佐ヶ谷弁天社というところがありますが、「弁天池」という池があり、湧き水が出ていたそうです。弁才天は水に関係する神様なので、湧き水が出るところや、水害の起こった場所に多く見られるということです。

とはいえ、軟弱地盤でも学校が建たないわけではありません。それには、地盤に杭を数多く打ち込む必要があります。
土壌が汚染されていたときの除去費用は河北病院が支払うことになっていますが、この杭打ちに関しては建物なので区が払うことになります。その費用は20億円とか…

そもそも、阿佐ヶ谷駅北東地区の再開発問題とは?

○個人共同施行による土地区画整理事業とそれにともなう阿佐ヶ谷北東地区地区計画のこと。
○河北病院がけやき屋敷の場所へ移転(2025年予定)
○河北病院跡へ杉一小が移転(2028年予定)
○杉一小の跡地に60mの巨大なビル

(阿佐ヶ谷開発問題を考えるシール投票の会提供)

この土地交換は、「謎」の個人共同施行による区画整理事業によって行われます。「個人施行」の場合は、都市計画決定を行わなくてもいいので、公聴会などの手続きが必要ありません。「杉並区長は自分で自分に事業申請をして自分で事業認可を出す」ということになります。
そもそも、公共財産である小学校の土地を、具体的な内容を区民に知らせることがなく誰かと交換することが制度上可能であるというのが信じられませんが…
さらに、この仕組みは議会の議決を必要としないというのも…

不安だらけなのに何も分からないという中、高台に建っている歴史ある(杉並で最初の)小学校を、軟弱地盤の低地に移転させることが区民の為になるのだという理由を杉並区は説明し切れていないのではないでしょうか。

「わざわざ、一等地に建つ小学校を移転させる意味がわからない。区民はどう考えても損をするんじゃないかしら?」
という区民の疑問に行政はキチンと答えるべきではないでしょうか。