第3回フィールドワークは井草地区の保育園問題

ここでも区は住民無視の工事を強行

快晴の25日(土)の午後、井草地区で保育園の建設問題に取り組んできたお母さんたちに案内役をお願いし、区が公園をつぶして保育園を建てた現場などを実際に歩きながら見て回りました。参加者は区内全域から集まった21人でした。

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西武新宿線の下井草駅前からスタートした一行は、まず向井公園へ。ここで母親の1人が、この地区特有の事情を説明してくれました。

不思議なことに、井草地区の待機児童は区の説明では11人しかいなかったのに、新たに5か所も保育所ができ、定員合計は440人にもなってしまったのです。
杉並区全域の地図を見ても、井草地区にやけに集中しています。それに比べ他の地域ではまばらというアンバランスが生まれているのです。
なぜこんなおかしなことになったのでしょうか。
田中区長は以前、区内のシンポジウムで「自分の足元でできないでどうする」と発言したこともあるそうです。

5か所の保育所のうち、向井公園、井草地域区民センターの空き地の一部をつぶすことに対しては、地元の人たちが強く反対してきました。
子供から老人まで一緒になって遊べる場所であり、お祭りなどでは地域のみんなが交流出来るところです。また3.11の震災のときは避難場所にもなったからです。
それをなくすのは、地域のコミュニティーを破壊し、子供たちの安全を脅かすことになると訴え、区には陳情書を出し、公開質問状も渡してきました。それでも区からの返答は「時間がない」「待機児童をゼロにする」の一点張りでした。

母親たちは反対してきただけではありません。大事な公園をつぶさなくてもいいように、自分たちで代わりの場所をいくつも見つけ、それを代替案として区に提案もしてきたのです。
その1つが下井草自転車集積所です。広大な敷地があるのに、いまはあまり利用されていません。この場所を上井草の集積所に統合し、空いた土地に保育所を建てるという名案でした。目の前の桃井第5小学校や隣接する学童クラブと連携できるほか、井荻駅にも近く、まさに「一石三鳥」の妙案だったのです。
しかしこの提案にも、区は耳を貸そうとしませんでした。誰が見ても合理的な案なのに、なぜ区はそこまで意固地になっているのでしょうか。
それどころかこの地区では、付け焼き刃的に遊び場を2つも近くに作るといった税金の二重の無駄遣いを続けているのです。
区の職員には公務員としての自覚や良心はないのでしょうか。それとも「田中区長の地元」への忖度なのでしょうか。

ほかの場所も見た後、井草地域区民センターの中で、案内をしていただいた3人の母親たちと参加者が一緒にお茶を飲みながら話をしました。
1人の母親はこう話してくれました。
「子を持つ親として、保育園を増やしたいという思いは、地区の親たちはみな同じなんです」
「ところが区は工事を強行しようとして、住民たちをあおり、巧みに住民同士を分断していきました」
「私たちは区に文句を言うな、と非難され孤立もしました」
「ブラックリストに載せられていると脅されもしました」
「こちらは最初からいくつも代替案も提案して、何とかいい着地点を目指そうとしたのですが、それもできませんでした」
「それが何よりも辛いことでした」

これがいま井草地区で起きている現実です。
母親たちは、何とかここまで運動をつなげてきましたが孤立しがちです。非力です。

前回11月12日に私たちが行った高円寺小中一貫校とあんさんぶる荻窪のフィールドワークでも、その地域で運動を続けてきた地域の人たちが、孤立し、工事会社からは悪意の攻撃まで受けてきた事実を学びました。

では、私たちはどうすればいいのでしょうか。
分断させられているのなら、統合を目指しましょう。孤立しているなら、連帯を深めましょう。
そしてみんなで、区政は住民のためにある、区政の主人公は住民なのだ、という大原則を実現しましょう。
そのために、これからも決してあきらめず、みんなで声を上げ、みんなで行動していきましょう。

25日の井草地区のフィールドワークでは、そんな思いを深くしました。
お忙しい日々なのに、私たちのために案内役、説明役などを務めていただいた地元の皆さまに、改めて心から御礼申し上げます。 (淳)   (2017.11.25)