「高円寺小中一貫校特別支援学級中学生教室の中学生フロアへの設置を求めることに関する陳情」2018.9.10

杉並区では、現在、高円寺小中一貫校が建設中です。それに関して、陳情や請願が出されています。今般、提出者の孝本敏子(こうもととしこ)さんにお願いして、それらを寄せていただきました。順次、ご紹介します(文末にpdf添付)。

陳情(2018.9.10)について:特別支援学級の中学生教室配置があまりにひどいので、区議会に陳情を出すことにしました。9月10日に提出、21日の文教委員会で審査と、予想外のスピード審査で不採択。不採択ではありましたが、これが一連の動きや「格子戸」廃止の始まりでした。(孝本敏子)

杉並区議会議長 大熊昌巳様                   

                            平成30年9月10日
すすめていいの?有志の会
連絡先 孝本敏子  杉並区xxxxx
  (電話番号: 省略)

高円寺小中一貫校特別支援学級中学生教室の中学生フロアへの設置を求めることに関する陳情

[陳情の主旨]
2020年に開校の高円寺小中一貫校には、統合される3校にはなかった特別支援学級(小中)が設置されます。新校舎の教室配置図から判断すると、特別支援学級中学生教室が特別支援学級小学生教室の並びにあり、通常学級小学生低学年フロアに設置される計画が進められています。この配置は、以下の理由から、中学生にとっても小学生にとっても適切な教育環境とは考えられません。特別支援学級中学生教室を4階の中学生フロアに設置することを求めます。

[理由]
1、特別支援学級は2階西側にあります。東側は通常学級小学生低学年教室です。特別支援学級の生徒は中学生になっても、トイレを挟んだ隣の教室に移るだけで、今までと変わらない小学生に囲まれた生活です。中学生としてのプライドが傷つくと思います。
2、子どもは同世代の子どもの中で育つことが大事です。
 今の教室配置では特別支援学級中学生(初年度定員2~7人)は特別支援学級小学生と通常学級小学生低学年に囲まれて中学3年間を過ごすことになります。同世代の中学生文化から切り離されて小学生の中で中学時代を過ごすということは、同世代の中で育つという教育の基盤的な部分を欠くことになります。
 この点からも、特別支援学級中学生教室は4階中学生フロアに設置することを求めます。
 尚、この点に関して「区長への手紙」で明らかになった教育委員会の見解は、「交流及び共同学習があるので切り離されてはいない」というものでした。その後の回答で、授業での共同学習は極めてハードルが高いこともわかりました。回答によれば、知的に障害がある子どもにとって授業での交流・共同学習の機会は少ないと思われます。行事での交流は非日常ですので、今の配置では特別支援学級中学生は、日常で同世代の中で過ごす機会を奪われることになりませんか。
3、特別支援学級に入学した子どもは、入学してから9年間を2階西側の一つのエリアで、通常学級小学生低学年と特別支援学級小学生に囲まれて過ごすことになります。6歳から15歳の児童期から思春期、心身共に飛躍的に成長する期間に、環境の変わらない一つのエリアで小学生に囲まれてすごすことは、子どもの成長を促す環境としてふさわしくありません。この点からも、中学生になったら4階の中学生フロアにホームルーム教室をもつことが必要です。
4、小学1年の児童と中学3年の生徒では、格段の体格差、体力差があります。この両者が同じフロアで、近くの教室で学校生活を送れば、決して広くない廊下でぶつかり、小さい子が怪我をする懼れもあります。このような懼れのある教室配置は避けるべきだと思います。
5、東京都の小中一貫校30校中一体型は13校、その中で小中の特別支援学級を設置しているのは6校、特別支援学級の小学生教室と中学生教室が同一階(近く)にあるのは、2校です(渋谷区1校、品川区1校)。小学生教室と中学生教室が同一階で近くにある、という形は一般的ではないことを付記しておきます。
6、4階の中学生フロアは、想定中学生数に比して広いスペースがあります。特別支援学級中学生教室を4階に設置することは、スペース的には十分可能です。
7、東京都の「建築物などの整備のためのユニバーサルガイドライン」には
「・基本的に誰もが同じ動線で利用できる経路になっている。(特別な経路を設定していない)。
  ・誰もが差別観や疎外感を感じることなく、利用できるようになっている」
 とあります。2階と4階では同じ動線ではありません。また、4階に行く中学生を見ながら、2階に行く特別支援中学生が、差別感や疎外感を感じたとしても不思議はありません。このユニバーサルガイドラインに反していると思います。  
 また、文科省のHP「共生社会の形成に向けて」には
 「基本的な方向性としては、障害のある子どもと障害のない子どもが、できるだけ同じ場で共に学ぶことを目指すべきである。」とあります。2階と4階では「同じ場」とはいえません。
これから作る公共建物ですから、共生社会の形成に資するものであることが必要です。

以上の理由で、特別支援学級中学生教室は、小学生フロアではなく、中学生フロアに設置することを要望します。