「考える会」主催の市民学習会に90名超の参加者

●2019年9月11日発行「杉並の問題を考える会」より

計画道路にお金をかけるのは時代遅れ

欧米で進む、「自動車から人」への街づくり

8月31日(土)、西荻窪の「遊空間・がざびぃ」で、考える会主催の「杉並に広い道路は似合わない」と題した講演会を開催しました。
講師は、龍谷大学教授の服部圭郎さん。道路を作る側の民間研究所「道路を作る側の理屈も分かる」経験を経て、「都市の豊かさとは何か」について研究されています。
会場としてお借りした「遊空間・がざびぃ」は、西荻窪で計画されている補助132号線が拡張されると消滅することになる空間です。

参加者は90人。おしゃれなスタジオ「遊空間 がざびぃ」が超満員となりました。
西荻窪、成田東、高円寺の計画道路3路線の地域住民のほか、世田谷、練馬、武蔵野、小金井、小平、東久留米、新座からの参加者も。
都議や区議の皆様も7人駆けつけてくれました。
服部さんは講演の中で、
「商店街が行政側に道路の拡張を求めるケースがあるが、これは間違い。商店街は広い道路と車の通行量で分断され、売り上げは減ってしまう」
「逆にいまある道路から車を締め出せば人出が増え、売り上げも2〜5割増える」
と、実例を挙げながら説明。
また住宅街に新たに幹線道路をつくった場合は、「地域の生活空間やコミュニティを分断し、それまであった日々の暮らしそのものを破壊する」
「新たな道路は通過交通のための道路となり、地元の環境悪化と危険度の増加は免れない」
と指摘しました。
講演では、環7完成後の地元住民の感想も紹介されました。
「道幅が広がって両側の行き来ができず、お互いの交流もなくなってしまった」
「道路整備は、結局地元にとって百害あって一利なしだとわかった」
服部さんは
「地域を破壊する最も効果的な方法が、実は道路を造ることなんです」
と強調しました。
欧米諸国の実例も紹介されました。自動車を締め出し、にぎわう商店街。高速・幹線道路を廃止し緑地や公園に変えた都市。
「欧米では、脱自動車、脱道路はもう当然」
「1970年代に議論してこう変わった」
日本の道路行政は欧米より40年遅れていることがよくわかりました。
いま世界の都市デザインの潮流は「自動車から人へ」とのこと。
日本だけ、なぜ逆行しているのでしょうか。
服部さんは、
「(田中)角栄さん以来、日本は道路大国になってしまった。道路予算はいまや世界最高水準」
「そこに利権が生まれ、道路族が仕切る官民一体の構造が出来上がった。うまみがあるから誰もやめない」
官民一体の利権構造の中で、国交省の道路整備担当者の発想も、時代に遅れてしまったようです。
「国民の生活レベルを上げるために建設しているのに、なんで反対するんだ」
本気でこう思っている担当者が今もいます、と服部さんは話していました。

欧米にはるかに遅れた日本の道路行政

では私たちはどうすればいいのでしょうか。
「いまのままでいいのか、欧米のような人(歩行者)が中心の街に変えるのか」
「50年後に自動車はないかもしれない。それでも道路にお金をかけるのか」
「日本の民主主義も問われています」
これが服部さんの結論でした。


具体化してからではもう遅い?

補助227号線整備に伴う高円寺再開発計画

具体化する前から先手をうつイベント開催

9月4日(水)、「高円寺再開発ちょっと待った! SAVE THE KOENJI トーク&ライブ」と題するイベントが、高円寺のライブハウス「ショーボート」で開催されました。
上の図のように、補助227号線は高円寺の北側の純情商店街と庚申通り商店街の真ん中を通って早稻田通りまで続く計画になっています。昨年の区議会で区長は「住民の合意がとれていないので計画は進めない」と表明し、いわば凍結の状態になっています。
しかしながら、補助227号線も事業認可直前と言われる補助132号線と同じ「第四次優先整備路線」に指定されています。
道路計画そのものが中止になることは考えにくいので、「やると言ってないうちに反対する」という、このようなイベントは凍結状態を維持する効果があると思いました。
「西荻窪の道路拡張を考える会」(=補助132号線拡張)の人たちの切実な訴えに、ライブ会場が静まりかえる場面もありました。I


数々の不安をよそに、着々と進む
阿佐ヶ谷駅北東地区開発を考える

阿佐ヶ谷土地交換開発計画

①河北病院がけやき屋敷の場所へ移転
不安→けやき屋敷は、希少な猛禽類「ツミ」の生息も確認されている自然を残す貴重な屋敷林として、本来は守べき対象です。「樹木は可能な限り残す」と区は言いますが、病院建設の際に80%程度は伐採されるということです。(2025年予定)
②河北病院跡地へ杉一小移転
不安→病院跡地は、様々な薬剤による土壌汚染が心配です。このような土地と、現在杉一小の立つ場所と交換するだけの価値があるのでしょうか?(2028年予定)
③杉一小の跡地に巨大なビル?
不安→高さ60mの高層なビルが建設されるといわれています。街の景観は一変し、人の流れが変わります。(2032年予定)

2019年9月11日発行「杉並の問題を考える会」(新聞形式)PDFは↓こちらから