●2019年10月9日発行「杉並の問題を考える会」より
「歴史認識の違い」ではない
9月12日、杉並区議会第3回定例会の一般質問で佐々木ちなつ議員(一人会派・正理の会)が、「区内学校で使用される社会科教科書の内容について」という質問を行いました。そこで行われたのは、質問ではなく、ヘイトスピーチそのものでした。国内メディア(朝日・東京など)が報道したほか、韓国メディア(MBS・JTBC)でも報道されてしまい、『ヘイト議員のいる杉並』として有名になりつつあります。
◦市民が抗議と記者会見
24日、『杉並の教育を考えるみんなの会』のメンバーを中心とした市民が、区議会議長と各会派に対し、「佐々木議員による発言取り消しと謝罪」「区議会の総意として当該議員への発言取り消しと謝罪を求めること」「区議会は佐々木議員へ辞職勧告の決議を行うこと」を求めました。
午後には記者会見を行いました。会見では、歴史担当の教員から、「歴史認識の違いというレベルではない」。朝鮮第九初級学校を支援するサランの会のメンバーからは、「第九学校は地域との交流も続け、地域の学校・子どもになっている。デマを流布する悪質なヘイトスピーチは認めるわけにはいかない」と、厳しい声が相次ぎました。
◦一部発言を自主削除
発言を受けて、区議会では議長も含む各会派の話し合いの結果、議長・副議長が当人に厳重注意を行い、それを受けて、本人が発言の一部取り消しを申し出た結果、26日の臨時本会議で、発言の一部は取り消しとなりました。
しかし、報道で、見出しに使われた発言は残ることになります(10月8日現在)。
なお、佐々木議員は、臨時本会議は欠席でした。
◦議員には発言の自由があるんじゃないの?
区民の投票によって選ばれた区議会議員の本会議での発言は、議長が言うように、本来であれば最大限尊重されるべきものです。
憲法21条には表現の自由も定めています。
しかしながら、佐々木議員の発言の根拠は「ユーチューブで有名な人が言っています」というもの。さらには根拠を示さず「杉並区の子どもがいじめに遭っている」など、特定の民族に対する明確な差別であり、「表現の自由」から逸脱したものであって、尊重されるべき言論と言えるものではありません。
◦歴史認識の違いじゃないの?
発言は全くの誤り(インターネット上のデマ情報)を元にした内容であり、特定の民族を侮蔑する発言を、「歴史認識の違い」として捉えることは明らかに間違いです(下記URL「みんなの会・お知らせブログ」参照)。
◦一部会派が議員辞職を要請
一部会派は、27日、「発言の全面撤回と謝罪・議員辞職」の要請を行いました。
選挙で選出された議員に対して、別の会派が「辞職しなさい」という要請を行うのは、自身も選挙で選出された議員にとって敷居の高いものですが、要請を行った会派の区議は「もちろん、そこは議論になりましたが、それに値する発言であることと、市民の意見を踏まえて、要請をしました」と言っています。
◦市民が直接抗議。超党派議員が申し入れ
10月8日には、市民が直接抗議のため佐々木議員を訪ねましたが、質問にまともに答えることはありませんでした。
同日、超党派議員18名が連名で、発言撤回と謝罪を求める申し入れを行いました。佐々木議員は控室から出ることは無く対応しませんでした。
26日の臨時本会議で佐々木議員の発言一部取り消しを認める採択のあとの議長の経過説明と見解
12日の発言については、ただちに事務局に指示し、発言の真意を確認するとともに、翌13日発言取り消しの留保を宣告し、記録を調査しました。
10月26日臨時本会議、井口議長
19日、私(議長)と副議長で、当人に対し、「他者を傷つける発言」「品位をそこなう発言」があったことを指摘し、厳重に注意をしました。
20日、当人から発言取り消しの申し出があったため、急遽本会議を開催しました。
区民の声を区政に届けることは、区議会議員の最も大切な責務です。
議会における発言は、議員の見識と責任において最大限尊重されるべきものです。
しかしながら、いたずらに他者を傷つける発言や品位を欠く発言が行われることは、言論の府である議会が、自らの責務を放棄することにつながりかねません。
本日の議会を開くに当たり、多くの議員がこの問題に深い関心をよせ、さまざまな意見が寄せられました。
本件のような、議員の発言の在り方に関わる問題について、区議会としてどう対応すべきか、大きな課題が提起されたものと受け止めています。
今後、議会内で議論が深まることを期待しています。
○2019年10月9日発行「杉並の問題を考える会」(新聞形式)PDFはこちらから↓