「考える会」しんぶん202103版

区長にも区議会にも届かない住民の声

反対住民の意見は聴かない

田中区長が区議会で暴言  2児童館廃止の住民説明会めぐり

 杉並区は昨年11月、西荻北児童館と善福寺児童館の廃止方針を区議会に報告しました。この問題で山田耕平議員(共産)とひわき岳議員(立憲)は3月5日の区議会で、住民説明会での住民の発言は全て反対だったのに、区長が議会で「理解を得た」と答弁したのはなぜか、などと区側を厳しく追及しました。
 住民説明会は昨年12月に両児童館の地元で開かれました。住民たちは廃止を突然知らされたため反発し、両会場とも発言者は全て反対だったとのこと。しかし2月10日の山田議員の代表質問に対して田中良区長は「一部に反対意見があったのは承知だが、全体としては理解を得たと考える」と答弁していました。
 このため3月5日の質疑で山田議員は「なぜ事実と違う結果を区長に報告したのか」と区側を追及。これに対して区側は「説明会前に地元の各種団体に説明。賛成の声もあった」と答弁。地元の有力者などに根回しをし、とくに反対意見もなかったことが「理解を得た」との区長答弁になったことが明らかになりました。
 一方、ひわき議員は「説明会では児童館を利用している中高生も『廃止しないで』と涙ながらに訴えた。区長には報告が伝わっていないのではないか」と質問。
 すると田中区長は「説明会が全てとは思わない。説明会には反対住民の出席者が多い。私は理のあることは聴くが、理のないことはどんなに人数が多くても聴かない」と驚くべき答弁をしました。

「悲しい」「辞任を」と 住民たち

自分の方針に賛成する意見は理があり、反対する意見なら理がないと一方的に決めつける考え方です。反対意見を全て無視するなら、住民説明会を開く意味はありません。憲法で保障された国民の主権を侵害することも明らかです。これでは区長失格です。
児童館廃止に反対するため、初めて議会の傍聴もした住民の一人は「区長の発言は悲しいです。もう辞めて欲しい」と悔しそうに話していました。(淳)


西荻窪駅南口再開発、
新年度スタート

区長が取り組みを表明 街の個性壊すなと住民

 田中区長は2月9日の区議会本会議で、新年度から西荻窪駅南口の再開発事業に着手することを表明しました。まずは駅周辺の関係団体へのヒアリングを始め、「まちづくり方針」の作成に取り組む計画です。さらにこの再開発のためにも、都市計画道路132号線の拡幅工事は予定通り進めると、改めて強調しました。

タワマン建設に警戒も

 再開発は駅前の古いアーケード商店街や飲み屋街を撤去したあとの空き地に、マンションや商業ビルを建てるのでは、と地元では見られています。すでに計画地域では水面下で開発業者が動いており、地上げもかなり進んでいるとの話です。ビルの高さについて区は、100㍍以上の超高層も認める方針です。このため地元住民は、西荻窪が超高層のタワマン街になってしまい個性的な魅力が失われてしまうと危機感を強めています。
  これまで反対運動を続けてきた住民たちは、132号線に反対する西荻窪駅北側の住民たちとの連携も進めています。今後計画が具体化すれば、西荻窪全体の住民たちの反発が一層広がることも予想されます。(淳)

2019年11月の「西荻守れ」のデモでは、132号線の拡張に加えて、駅前の再開発を懸念する声が多く上がりました。


「コロナ重症患者のトリアージ基準を」
区長が小池都知事に要望書

「命の選別」と全国から抗議  区長は議会で「お詫び」

 田中区長は1月、「コロナ重症患者を対象にトリアージ(治療の優先度の順位づけ)のガイドラインを作るべきだ」との要望書を小池都知事に出しました。そのことが文春オンラインでも紹介されたため、全国の障がい者団体や個人から区長宛に抗議が寄せられました。
 「トリアージは命の選別につながる。その基準を作れというのは危険」「命の選別が起こらないようにするのが行政の責任ではないか」と。
 2月の区議会では、山田耕平議員とひわき岳議員がこの問題を追及。このうちひわき議員は「行政が命の選別をするようになったら、弱い立場の人は大変な恐怖」と、要望書を撤回するよう区長に直接迫りました。
 これに対し田中区長は「文春の記事で気分を害された人がいたら申し訳ない。率直にお詫びしたい」と謝りました。 (淳)
文春記事はこちらら(文春オンライン)


陳情を審査しない区議会

9割以上を放置 議会の責務を放棄?

 陳情・請願は区政に関する事項などについて区議会に対して直接要望できる制度で、誰でも提出することができます。本来は区議会で審査し、採択されたものについては、区議会から区長や関係機関に対して要望の実現を求めるほか、国や都に対して意見書を提出するなどの働きかけをします。
 杉並区議会では19年の5月~20年11月の間、81件の陳情が付託されましたが、審査したのは7件だけ。審査率は8・6%ということになり、実に9割以上の陳情・請願は無視されています。
 住民説明会で意見を述べれば区長から反対派扱いされ、区議会に陳情すれば審査もされず…
 自治基本条例にある“区民が自らの判断と責任の下に、区政に参画できる住民自治の実現を目指す”には、一体どうすればいいのでしょうか。(い)