《12.3「杉並の保育の質」意見交流会》に参加して

私は今、杉並区内の保育園で保育補助として働きながら、保育士資格取得のために勉強しています。今回初めてこの会に参加し、様々な立場の方(区内の保育士、区外の保育士、園長、経営者、保育園に子供を預けている保護者、議員、保健師、教育問題に多面的に取り組んでいる人、などなど)からお話を伺うことができ、大変勉強になりました。あの場にいた全員に共通していることはただ一つ。『杉並で暮らす子どもたちをより良い環境で育みたい』ということでした。

杉並区では現在、待機児童解消のためにたくさん保育園が作られています。既存園では、定員増を要求されています。保育士不足が叫ばれる中で、行政のコスト削減のために次々に公立の保育園が廃止され、民間委託となっています。公園を潰して作られた保育園もあり、「子どもは育っていく」という視点が欠けているのではないかという批判もあります。

待機児童問題が深刻化した背景には、ライフスタイルの選択肢が広がったことや経済的な問題など、様々な理由で共働き世帯が増えていることで保育の必要性が増していることがあります。しかし、だからと言って子供を詰め込む箱を増やすだけでいいのでしょうか?毎日毎瞬成長していく子どもたちが、どんな環境でどんな人と関わりどんなものに触れていくのか、その質についての議論は、きちんとされているのでしょうか?

日本国憲法に基づいてつくられた児童憲章には、以下の綱領があります。

児童は、人として尊ばれる
児童は、社会の一員として重んぜられる
児童は、よい環境のなかで育てられる

実際に社会を動かす力を持ち、社会の仕組みを作っている私たち大人には、子どもたちの命と尊厳、そして未来の社会を作っていく人間を育てることに、大きな責任を負っているのだと、私は思います。

保育の問題は、社会の問題です。
見守る大人の心や体に余裕がなければ、子どもに対し、常に安全を確保しながら穏やかな気持ちで接することはできません。保育士の待遇や、子どもの人数に対する保育士の配置基準についても、最近は議論されています。子どもを預ける親もまた、余裕のない子育てを強いられるような環境のなかで生きている人が少なくありません。子どもを取り巻く環境を考えるときには、常に、社会全体を動かしている仕組みや時代の空気について問われている気がします。

地域の事情や現場の声をよくわかった上で政策を実行できるのが、自治体の行政です。私は今自分が暮らしている杉並で、これからみなさんと一緒に、子どもにとっての「いい保育」について、学び、考え、話し合っていきたいなと思っています。(H.T)